広島のSDGsを牽引する「松原裕樹」

松原裕樹プロフィール

【氏 名】 松原 裕樹(まつばら ひろき)
【肩書き】 特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター 専務理事・事務局長

【プロフィール】
1982年広島生まれ。NPOや企業、渡米経験を経て、環境、教育、地域づくり、観光、防災などに関する事業の企画、運営、コーディネートを行っている。2017年からひろしまNPOセンター事務局長に就任。ゆたかな市民社会の実現に向けて、NPOやボランティア活動の支援、地域課題の解決やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた多様な主体との協働に取り組む。環境省中国環境パートナーシップオフィス(EPOちゅうごく)・中国地方ESD活動支援センター 事務局長、内閣府認定地域活性化伝道師。


【経 歴】
2005年 広島工業大学環境学部環境デザイン学科 卒業
2006年 特定非営利活動法人ひろしま自然学校
2010年 The Institute for Earth Education
2011年 株式会社JTBコミュニケーションズ
2012年 特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター
 

 

まず初めにお伺いします。
松原さんがSDGsに取り組もうと考えたきっかけは何でしょうか?

 
 

SDGsが包括する環境・社会・経済において、私個人としては昔から環境問題に関心があり、大学時代は環境デザイン学科で環境に配慮した建築やまちづくりを専攻しました。

卒業時に、環境に対する想いや知識を活かすことができる仕事は何かと考え、色々な苦労があった末に幸運にもひろしま自然学校というNPO法人に就職できました。

そこでは、北広島町の里山をフィールドに「森を守る」「森で遊ぶ」「人を育てる」活動を行い、テレビ番組のDASH村のようなイメージで、環境を活かした教育や地域づくりなどに取り組みました。

また、Think Locally Act Globallyの考え方で、地域のことも地球のことも意識して行動してきたので、国連の環境と開発に関するサミットの流れからSDGsが生まれたことは受け入れやすく、今まで大事にしてきたことは間違っていなかったと自信が持てました。

 
 

松原さんがSDGsに取り組んでいるのではなくて、松原さんの取組がSDGsに近いということですね、なるほど、これは失礼しました。

ところで、数多くの講演活動等を通じてSDGsの啓蒙をされていますが、その対象は下は小学生から上は社会人の方まで、かなりの幅があるように見受けられます。

価値観であったり知識レベルの違いがある対象に対して講演を行うというのは難しく思えるのですがいかがでしょうか?

 
 

私自身、子どもの頃から指導者に恵まれてきたなという反面、社会にある問題は大人がつくり出したものだよなっていう矛盾を感じてきて、自分が大人になったときは子ども達にかっこいい背中を見せたいなと思ってきました。

それと、これまで自然体験活動や環境学習など、子どもと関わる機会が多く、そこでは大人も子どもも関係なく、一人の人間同士として対等に接することを心がけてきました。

持続可能な開発とは、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす」と言われていて、これってとてもシンプルなことで、大人も子どもも持続可能な社会ってどうやって創っていくのか、共に学びあって行動していくことだと考えています。

それは、これまで私たちが受けてきたような大人が子どもに何か一方的に教えるものでなく、次世代の想いや意見をふまえて私たち大人は商品やサービス、社会環境を整備していく必要があります。

大人と子どもに知識や経験の差はあっても、お互いの価値観を共有していくことがポイントだと思っています。

 
 

確かに大人だから、子供だから、という括りはおかしいですね。
私もA型ですが、家は汚いですし(笑)それは違う話ですかね(笑)

とはいえ、知識レベルの差というものはどうしてもあると思うんです。
全く知らない人に、SDGsって何なん??って聞かれたときに、なんて答えたらいいんでしょう?

 
 

SDGsってよりよい世界をつくっていくための共通言語かなと思っています。
また横文字かってよく批判的な意見を聞きます。

しかし、グローバルな社会になればなるほど横文字の言葉は増えていますし、日本でも若者が「ぴえん」とか「マジ卍」という言葉を使っていて、それって何だと思ってしまうけど、そこに次世代の価値観がありますよね。
その言葉を口に出して使うか使わないかは別として、意味はなんとなく分かる。

先ほどの大人と子どもの価値観の話にも繋がりますが、横文字のSDGsをまず知識として理解しようとすると難しく感じるかもしれないので、SDGsは世界のあらゆる人が目指していきたい価値観なんだと、まずは感覚的に捉えていただければと思います。

これまで、SDGsの前身としてのMDGs(ミレニアム開発目標)や、パリ協定などの地球規模の社会問題への取組は数多ありますが、SDGsが一つの代名詞として現在これほどまでに世界中で共感されてみんなで目指していこうという指標になっていていることは、私が知る限りでは類を見ないもので、世界の共通言語としての可能性を感じています。

 
 

世界や地球といわれてしまうと、どうしても遠い話に聞こえてしまうんですよね。
私だけでなく、そんな印象を受けてしまう人も多い気がします。
他人事から自分事に意識を変えるためにはどうしたらいいでしょうか? 

 
 

「体験」と「繋がり」が重要だと思っています。
世界規模でも自分の身の回りのことでも、私たちは言葉や知識で理解することは容易くても、体験を通じて実感しないとなかなか自分事として捉えられないと思います。

子どもを持つと、母親は自分の命の様にわが子を大切にしますし、父親も子育てを自分事として実感できるようになりますよね。
私事ですが、遅まきながら私は最近ようやく結婚できて、家庭生活というものを身に染みて理解できるようになりました。笑

話は戻して、私が講演等をする場合には、知識として一方的に教えることよりも、体験しながら学ぶ、実践を通して学ぶことを提供できるように意識することを心がけています。

最近、学校の探究活動ではプロジェクト学習や社会課題を扱うことが増えてきて、よく講師で呼ばれるのですが、そこでは地域課題でも自分の趣味でも、生徒自身が関心や問題意識を持ったことに対して行動できるように、学び方や課題解決の方法を提供しています。
その先として生徒が教室を出て主体的に社会と関わる一歩を踏み出してくれたら嬉しいです。

企業でいえば、SDGsセミナーをして終わりではなく、その後の実践に続いていくように、交流会の機会を継続的に設けるなど、参加者が繋がりお互いに支え合いながら行動に繋がっていくようなことを仕掛けています。

 
 

まとめると、松原さんの開催されるイベントや講演に参加すれば、他人事から自分事に意識は変わる…ということですね。

 
 

絶対にそうなるとかそれだけが正解だとは思っていませんが、体験や実践のステップを通じて行動していきたいという方は、ぜひ一緒にそのような機会を共有できると嬉しいです。

今後、様々な場所でSDGsのセミナーや宣伝などが増えて見聞きすることが多くなると思います。
そのときに、料理のレシピ本を読みながら料理するように、ゴルフのスイング動画で見て研究するだけでなく実際にクラブを持って振ってみるように、自分事になりやすい工夫を見つけていただければと思います。

 
 

なるべく多くのイベントにそのような意識をもって参加してみようと思います!
ただ、イベントへの参加ということになると当然、その分、時間を使ったり、費用が掛かったりということになってきますよね。

私個人の話ではなく、所属する組織、企業という観点に立った場合、時間対効果、費用対効果、言葉を選ばずシンプルに言えば、SDGsに取り組むことによるメリットがないと、なかなか企業がSDGsに取り組むことは難しいのではないかと思えるのですが。

 
 

損得勘定になってしまうので、メリットという言葉を私はあえて使わないようにしています。
例えば、頭が痛いときに会社を一日休むか頭痛薬を飲んで出社するか効率性を考えますが、SDGsってそのような対処療法では難しくて、社会全体が生活習慣病になってこの先の持続性が危うい健康状態です。
そんなときにダイエットって何のメリットがあるのかとか考えても元気になりにくいし、SDGsで求められているのは根本治療です。

ただし、企業のような組織は即効性や明日の収益が必要な事業体かと思います。
そこで、ビジネスチャンスは、もちろん社会的なニーズの中にあるというセオリーから、SDGsが重んじられる社会の中でむしろ社会課題の解決そのものがビジネスチャンスかと思います。企業の取組や商品がどのような社会課題の解決のためのものであるのかというロジックに切り替えるだけのことなのかなと。

言い方を変えると、ビジネスとして成立しているということは、社会からの需要があるということ、何かしらの社会課題の解決を担っているからこそ、その企業のそのビジネスは成立していると思います。
そうでなければ、その企業やビジネスは淘汰されて残っていくことができない。

SDGs的に言えば、持続可能ではない企業ということになりますよね。
今やっていることにプラスアルファで何か重荷になるとか、大げさに考える必要はなくて、例えば従業員の安全を守りたいとか従業員の暮らしを大切にしたいとか、SDGsはそういったものも包括しているので、メリットという言葉で換算するのはそぐわない気がしています。
そもそも論ですが、周りの社会が持続可能じゃないと、企業も持続可能じゃないよねって話になるのかと思います。

 
 

確かに、どれだけいい商品開発をしたって、社会全体が貧困に陥り、買ってくれる人がいなくなってしまっていたら意味ないですもんね。
継続することができる企業活動=SDGs、分かってきた気がします。

それでは、松原さんがSDGsに取り組むことによって得られたことや、今後取り組んでいくことによって社会がどうなっていくか、どうなってほしいかということをお伺いして最後の質問とさせていただこうと思います。

 
 

まず、得られたものについては、人脈やネットワーク、これに尽きると思います。
これまでも企業や様々な立場の方と一緒にお仕事する機会はあったのですが、この2~3年で格段に企業の方との関わり合いが増え、経営者層が集まる経済団体やロータリークラブ、青年会議所での講演も多くさせていただきました。

活動サポートしている大学生などはSDGsに取り組む過程の中で市長に会えるなど、社会関係資本の形成が加速されると思います。
社会の多様で複雑な問題に対して多様にアプローチできるスキルや能力、資源を持っている人たちと繋がれば繋がるほど問題は解決できる、仕事がうまくいく、それは巡り巡って地域のためになり、社会のためになる。
私個人が得たものというよりは、社会がこの仕組みを得たといった方が近いのかもしれません。

次に、社会がどうなっていくかという部分について、これまでNPOは社会課題の解決には強いが経済性に課題を抱えているケースが多くありました。
逆に、企業は社会に対して経済的には貢献している面は強いですが、社会問題を引き起こしてしまう側面もあります。これが、SDGsという共通言語を中心として、NPOも企業も存在意義や立場が近づいてきていて、向いている方向も同じになっていくと考えています。

結果として、社会に存在する組織が、営利組織と非営利組織に単純分類されるのではなく、SDGsの達成を目指す組織として一つの括りの中に存在するようになるのではないか、もっと言えば、そのような社会にしていくことが必要なのだろうと考えています。

 

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